Collect moments, not things
久保 真人 / Masato Kubo
ライフストーリー
1982年生まれ、神戸市出身。
二人兄弟の次男。少年野球時代の背番号は2番。打順も2番。学生時代はクラスの皆を引っ張りはしないが、そこそこに笑いをとれて目立つ存在。
そんなおいしいとこ取りの2番手人生を送ってきた久保が、就職もせずにフリーの報道写真家としての人生を送ることになったのには理由があった。大学二年生の時に書店でたまたま手にした、中東紛争について書かれた一冊の新書が久保の人生を変えた。
大学で歴史を専攻し、世界の色んなことを知っているつもりだった。中東紛争が四度にわたって起きたことや、領土分割のこと。しかし、その本に書かれていたのは、そうした年表をなぞるようなことではなかった。昨日まで暮らしていた土地を奪われた人たちの生の声や、それでも必死に抗いながら人間らしく生きていこうとするさま。それが美しい写真と文章で描かれていた。
頭をカナヅチで殴られるとはまさにこのことだった。深夜から読み始めた本に夢中になり、気づけば夜が明けていた。本の巻末にある著者情報を見ると、肩書きに「報道写真家」という文字があった。
「自分もこの仕事をしよう」
久保は、なけなしの貯金をおろし、新宿のヨドバシカメラで一番安いビギナー向けのニコンのフィルムカメラを買った。半年後、久保はそのカメラを持ってパレスチナにいた。
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海外移住も含め、本気で取り組んだドキュメンタリー撮影。中東・アジア・アフリカのさまざまな国と地域を訪れ、現地の人たちと寝食を共にし、心の声を聞いた。どんなに悲壮感が漂う場面でも、人と人の間で交わされる愛情を写すことにこだわった。
ウェディングフォトに出会ったのは、報道写真家として活動し始めてから5年がすぎた頃だった。海外取材の合間にできる国内の仕事を探していた時に、偶然カメラ雑誌で目にした求人がきっかけだった。それまでウェディングフォトというものが存在することすら知らなかった。しかし始めてみて気づいたのは、これも人の人生に触れるドキュメンタリー撮影であり、自分にとって天職だということだ。
それから15年の月日がたったが、久保はクッポグラフィーを経営しながらいまだ現役で撮影を続けている。被写体は、海外の紛争地に暮らす人々から、日本のカップルや家族に変わった。しかし変わらないのは、目の前の人たちの愛情を写真に写すことが自分の使命だという強い気持ちだ。
初めてパレスチナの地を踏んだ20年前、未熟な若者にすぎなかった報道写真家の心の中の炎は、一度も絶えることなく今も熱く燃え続けている。
受賞歴
2006年 | 第7回上野彦馬賞 日本写真芸術学会奨励賞
2012年 | Wedding Photojournalist Association 「Great Natural Light」 部門 6位
2013年 | Wiki School Pedia Best Asian Wedding Images 2012 トップ20
2013年 | Wedding Photojournalist Association 「Food and Drinks」 部門 1位
2014年 | International Society of Professional Wedding Photographers 「Family Love」 部門 18位
2014年 | International Society of Professional Wedding Photographers 「Venue or Location」 部門 2位
コレクション
清里フォトアートミュージアム (久保真人の3枚の写真作品が永久収蔵されている)
メディア
ザ・ウェディング 注目のウェディングフォトグラファー
Oggi 2021年8月号
その他
2011年〜 | WPJA (Wedding Photojournalist Association) 会員
2017年7月 | 富士フイルムセミナー講師
2019年6月 | PHOTO NEXT Adobeブース セミナー講師