子どもの成長を感じる“特別な日”だった デザイナー多田明日香さんが体感したクッポグラフィーの七五三
2024年、クッポグラフィーの七五三の新作着物をデザインした、グラフィックデザイナーの多田明日香さん。今回、自身が制作した着物をお子さまが着用し、ご家族と一緒に七五三の写真を撮影しました。
子どもが生まれてからの3年と少し、子育てをしながら創作活動に打ち込む忙しい毎日。七五三の撮影は、今このときしか見られない我が子の表情を見ながら、子どもの成長を振り返る特別な日になったと話します。
多田明日香さんにインタビューを行い、制作の裏側から自身のお子さまとの七五三撮影、そして新作着物に込めた思いを伺いました。
制作の裏側についてはこちらの記事でご紹介しています。
◆我が子が袖を通して感じた “子どもが楽しめる七五三”の良さ
ーー今回、多田さんご自身もお子さまと七五三の撮影をされたそうですね。
多田さん:そうなんです。自分がデザインした着物を自分の子どもが着られるなんて思ってもみなかったので。素晴らしい機会をいただきました。
星:ヘアメイクとアテンドに入らせてもらったのですが、本当に素敵なご家族でした。
多田さん:撮影の日までは、心配しかなくて。息子が果たして着物を着てくれるのだろうかと。もうすぐ4歳になる息子は、ちょっと慎重派なところもあって、普段着ていないようなものを絶対に着たがらないんですよね。
ーーなるほど。
多田さん:昨年11月の七五三のタイミングではちょっと難しいかなと思って、見送ったところでした。でも、デザインのお話があって、無理かもしれないけれど着てほしいなと思いながら、事前に息子に写真を見せながら少しずつ話をしていきました。
写真を見せたら「きれい」って言ってくれたのですが、「これを着て、家族みんなでお写真を撮りたいんだけど、どうかな?」と聞いたら、気のない返事で「いいよ」って。
あぁ、絶対これは当日泣いちゃって着てくれないな…と思って、ご褒美などを色々と考えて臨んだら、心配する間もないくらいサクサク着替えが進んでいって。
星:事前に心配されていることは伺っていましたが、全く問題なかったです(笑)
多田さん:プロの技だと思いました。気が付けば着物を着ていて。大好きなウルトラマンのポーズをとった瞬間に腰ひもを結んでくださったり。早わざでしたね。
星:撮影中も楽しそうに走り回っていましたよね。
多田さん:子どもが嫌がったり、親が「ここにきちんと立って!」などと叱りながら撮影するくらいならしなくてもいいかなと思っていたのでほっとしました。撮影中も皆さんが盛り上げてくださって、息子も楽しそうで。そんな息子を見ながら、私たちもこのかけがえのない時間を心から楽しむことができました。
ーー写真の中のお子さまもすごく良い表情でしたね。
多田さん:スタジオはシンプルな空間なので、子どもの一瞬の動きや表情がよくわかる、何度も見返したくなる写真ばかりでした。つくり笑いをするのでもなく、いつもの息子の笑顔が写真に残されていて。この写真を見れば、この日の息子と過ごした記憶が蘇るような。大切にしたい1枚になりました。
そういえば撮影の日の夜、息子に聞いたんです。「どうしてあんなに楽しく着物を着られたの?」って。息子は、「着物のお写真を見た時はたぶん泣いちゃうかもって思ったんだけど、着てみたら大丈夫だった。楽しかった。」って言ったんですよね。
星:ママがつくった着物ということもあって、3歳ながらにいろんなことを考えていたのかもしれないですね。楽しめたのは本当によかったです。
スライドショーでは旦那さん、泣いていましたね。
多田さん:夫も息子の性格を知っているので、同じように心配をしていたみたいで。楽しそうに笑っている写真を見て、ほっとしたのもあると思うんです。
実はこの夏は、息子にとっては成長の夏だったんです。今までできなかったことができるようになったことが多くて、最後の締めくくりに着物を着て楽しく撮影ができて。スライドショーを見ながら、息子のこれまでを振り返って思いが溢れたのかもしれませんね。
多田さん:以前、子どもが2歳のときにクッポグラフィーでファミリーフォトを撮っていただいて、今回は2回目の撮影でした。スタジオ空間の光の加減や居心地の良さも相まって、写真に写るみんなが自然体でいられるところが毎回すごくいいなと思っていて。
撮られ慣れていない私たちがいつもの表情を出せるのは、スタッフの方々のあたたかい声かけのおかげです。しかも、「私、こんな顔をして子どもと笑っているんだ」って、自分も気づいていないような瞬間も写真に残されていて。
日常の延長だけど、特別な一日。そんな、家族みんなが幸せになれる時間でした。
取材・文 石垣藍子